「旅とカメラ」

日比野宏さん スライドトークショー


 「旅の本屋のまど」主催のイベント第二弾のご報告です。
 写真作家・日比野宏さんをお招きしたスライドトークショーを、12月13日に開催しま した。  

 スライドトークショーは、日比野さんが1980年代後半ごろからアジアを撮るきっかけ になったという1年3ヶ月の旅のお話から。はじめて足を踏み入れたときは10メートル でビビって引き返してしまった香港の九龍城塞。当時は旅行者のあいだで悪評高き国 の代名詞であった中国。さらに、フィリピン、タイ……。1990年代もほぼアジアに行 きっぱなしだったという時代のベトナムをはじめ、各国で撮影した現地に暮らすふつ うの人々、市場、料理などなど。

 撮影したときのエピソードだけでなく、アマチュア カメラマンがおかしやすいミスを防ぐためのちょっとした撮影テクニックなどもまじ えてお話しいただきました。





アジア亜細亜-無限回廊-
 講談社文庫 定価:693円(税込)

桂林の不良少女、ソウルのあやしいポン引き、
マニラのスラムのボス……様々な出会いと別れがあった。
快楽とせつなさがイルミネーションのように交錯する亜細亜。
アジアの夢と現実を熱写するスリリングな旅本。








 たとえば、やっぱり旅先では現地の人を撮りたいのだけど、なかなか被写体である現地の人にカメラを向けることができないという場合には、一眼レフカメラではなく小 さな高級コンパクトカメラで撮れば、相手がそれほど構えないから比較的撮りやすい。シャッターをきりたいと自分が感じたその瞬間に、「たぶん撮っても大丈夫」と いう感覚でいられるように日頃からイメージしておくことが大事。だから「この人は 撮ってもOK」「この人はダメ」と、人を見極めていくコツをつかめば、そこから旅 の写真はグンと幅が広がっていく。
 また、相手が撮影をOKしてくれたときでも、ふつう1〜2回シャッターを押して満足してしまいがちだけど、3〜5回くらい粘ってシャッターを押すと、相手の表情が変わってきてオモシロイ。と、撮影のテクニック だけでなく撮影するときの心構えについても触れ、参加したお客様たちがフムフム とうなずかれる場面なども多々ありました。

  スライドショーを終えた後半は、お客様が持参したカメラを借りての実践的なお話も ありました。
 手ブレを防ぐホールディングの方法。あるいは、ブレを防ぐのは構え方 だけにあるのではなくて、たとえば28mmなどの広角レンズを使えば、ブレもごまかし やすい。シャッターを押すその一瞬だけ息をとめるとスローシャッターも失敗しにく い、などなど写真学校で講師もされている日比野さんのサービスたっぷりの内容とな りました。

  トーク終了後のサイン会のあとも、有志で飲み会へと流れ、総勢15名ほどの宴で盛り上がりました。参加者のお客様のアンケートでは、3回シリーズとかのワークショップにしてほしいとか、次回をのぞむ声もたくさんいいただきました。

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